デザイン マインドセットの意義と習得方法 (Dmytro Muzychko)

    本ページは英語ドキュメントを翻訳したものです。

     


     

    デザイン マインドセットの意義と習得方法(著者:Dmytro Muzychko)CCDE の準備において、誰もがデザイン マインドセットを持つようにと何度も聞かされます。実際には、それはどのような意味で使われ、どのようにして習得できるのでしょうか。

    お気に入りのシャーロックの演繹的方法を使ってみましょう。マインドセットとは考える方法であり、つまりデザイン マインドセットとは設計の特性を考慮した考え方と言えます。「設計の特性」とは、設計全体の技術的コンポーネントやテクニックの利点または欠点として使用されるあらゆる側面を意味します。エンジニアリング マインドセットからデザイン マインドセットに移行することで、最終的な解の方程式にさらなる変数をもたらしていることになります。このプロセスは抽象化とは逆です。

     

    これらの「設計の特性」とは何かを理解するため、もう少し詳しく見ていきましょう。これを次の 3 つの独立したグループに分類してみます。

     

    顧客の要件に対処する

    あらゆるソリューションにおける主な評価チェックポイントとは、当然ながら特定の制約内で顧客要件を満たしていることです。多くの場合、ネットワーク設計で使用する技術ツール(テクノロジーまたはテクニック)は、目標を達成するために他のツールよりもはるかに最適な場合がありますが、制約を破ってしまうことがあるので、使用すべきでない場合があります。顧客要件を明示的に提供することに加えて、隠れた要件が存在する場合もあります。たとえば、顧客がインターネットを介したオーバーレイ ネットワークを用いて、世界中のすべての国のオフィスを接続することを求めているとします。ここに隠された制約として、中国などの国々における IPSec の制限がある場合があります。そこでデザイン マインドセットでは、最終的な目標だけではなくすべての制限を明らかにします。

     

    鳥瞰的なアプローチ

    鳥瞰的なアプローチは、設計の特性に関するもう 1 つの非常に重要なポイントです。これには、階層、モジュール型、一貫性、拡張性、将来の成長、ビジネスの可能性などの側面が含まれ、ネットワーク設計から一連の回避策を区別するものです。多くの場合、顧客は特定の問題または追加サービスの解決策の提供を求めています。デザイン マインドセットでは、特定の目標だけに集中するのではなく、全体像を見る必要があります。このグループの設計の特性を理解するうえで役に立つ比較対象として、盲人と象に関する話があります。盲人のグループが象を触り、象がどのようなものかを理解するという語です。人によって異なる部分を触りますが、それは象のほんの一部です。その後、彼らはそれぞれのメモを比較して、全体的な対象が実際にどのようなものかを認識することなく、全体像の異なるとらえ方をしたということを知ります。つまりデザイン マインドセットでは、簡単に実装およびサポートできる設計を行うために、アーキテクチャ全体の詳細を収集する必要があります。

     

    その他の特性

    最終的なソリューションに複数の設計オプションがある場合、それぞれのオプションのその他の特性を分析し、最適なものを選択することができます。これにはたとえばコストや安定性、シンプルさなどがあります。このうちの一部は要件のステップで挙げられているかもしれません。また企業や個人の設計者の優先順位によって明らかにされるものもあれば、顧客にとって重要でないもの、または知られていないにもかかわらず考慮すべきものもあります。このグループの各側面は、異なる視点から設計コンポーネントの特性を示します。これらの特性がどのように判断に影響を与えるかを理解するには、多次元の見方を比較すること、たとえば、2D、3D、または 4D の動画を見て比較することが適しています。

     

    デザイン マインドセットを実際に習得する方法

    では、実際どのように頭の中でデザイン マインドセットが行われているかを理解するため、さらに踏み込んでみましょう。意思決定プロセスのコンポーネントを理解していても、設計「モード」で作業するために必要なスキルを習得するには、さらに脳を鍛える必要があります。 望ましくないアプローチは、個人的に最も気に入っているテクノロジーを思いつき、さまざまな調整を行って要件に適合させようとすることです。最終的にソリューションは得られますが、それは次善または過剰なものである可能性があります。残念なことにこれはまれなケースではなく、技術的な正確さに対する個人的な印象に基づいてテクノロジーに取り組む人たちがいるために起こります。「OSPF が好みではないので、いつも EIGRP を使っている」や、その反対のような発言を何度耳にしたことでしょうか。しかしながらデザイン マインドセットは、テクノロジーがどれほど魅力的であるかは評価せず、テクノロジーをツールとしてのみ考えます。それでもデザイン マインドセットには十分魅力があります。ネットワーク設計を完了するための規範的なアルゴリズムは存在しないため、常に技巧的な要素があります。設計者によっては、多くの異なる特性を無視または考慮したり、異なる順序で分析したり、異なる優先順位を設定したりすることがあります。このプロセスの重要な部分は、設計者の頭の中に蓄えられたナレッジ ベースです。設計者のナレッジ ベースが大きければ大きいほど、ソリューションは良いものになります。

     

    では、どのようにしてデザイン マインドセットを習得できるのでしょうか。個人的に最も重要な 2 つの要素は、経験と教育です。アルベルト・アインシュタインが述べたように、「知識とは唯一経験から得られるもの」です。ネットワーク設計の業務において、その結果得られるネットワークの改善や低下を観察し、その背後にある理由を理解することにより、信頼性を高め、思考プロセスを正しい方向に導きます。自身の失敗を回避するには、他人から学ぶことが大切です。自習や専門クラスの受講、または他者を通して学ぶことができます。ネットワーク設計のキャリアを開始するにあたり、提案されたソリューションの背後にある理由を理解することに焦点を当てながら、設計の本を読み、ベスト プラクティス(CVD)を学習することをお勧めします。

     

    新しいテクノロジーを学ぶとき、それが「何か」ということだけではなく「どのように」使えるか、またその副作用についても集中して考えましょう。設計上の判断に影響を与える可能性のある観点を探し、物事をさまざまな視点からとらえましょう。重要なのは、必ずしも深く学習する必要はなく、むしろ幅広く学習するべきだということです。

    最終目標は、ナレッジ ベースと思考スキルを向上して実践することによって、最も適切なソリューションを生み出すことです。時間が経つにつれ、異なる設計の特性/コンポーネント/テクニック/アプローチは頭の中で論理的なつながりを構築し、デザイン マインドセットと呼ばれる、ある種の設計指向の思考テンプレートが生まれます。

     

    著者について

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    Dmytro(Dima) Muzychko は、Verizon 社の主席設計エンジニアで、主に規格外の顧客要件を扱っています。サービス プロバイダーのネットワーキングに関する経験があり、特にルーティング・スイッチングや仮想化、最近では SD-WAN に重点を置いています。Dima のプロフェッショナルとしての言葉を引用します。「問題を解決するにはインテリジェンスが必要だが、問題を起こさないためには知恵が必要だ。ネットワーク設計という作業は、まさに後者そのものだ」。

    Dima は現在、Routing & Switching の CCIE と CCDE を保有し、コンピュータ テクノロジーの修士号を取得しています。

     

     

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