スコア 60 点の壁(Martin Duggan)

    本ページは英語ドキュメントを翻訳したものです。

     


     

    Blog25-60 Limit.png

     

    CCDE を取得するのは、どのくらい難しいのでしょうか。この資格が、長年、設計に取り組んできたことを示す、単なる証明書のようなものだと思っていませんか。だとしたら、それは完全な誤解です。この資格を取得するには、複数の分野における経験と知識を実証しなければなりません。この資格には多岐にわたる職務が含まれており、栄誉ある CCDE 認定番号を得るまでにそうした職務に就く幸運に恵まれないこともあります。

     

    もしあなたが私と同じタイプなら、飛行機で試験会場に出向き、ルータとスイッチを自由自在に操れることを 2 日間かけてシスコに実証することができるでしょう。シスコはあなたに CCIE の認定番号を授けてくれるでしょう。あなたはきっと、構成を暗唱し、数時間ではなく数分で問題を解決することができるはずです。その後、絶好調のさなかで、有能さを発揮して睡眠時間を取り戻し、コーヒーを楽しんでいると、CLI の世界から引き離され、無理やり設計の世界へと送り込まれるのです。CCIE を取得できたとしても、それは、設計にも長けている、ということを意味しません。設計があまり良くないソリューションに事後対応的な修正を頻繁に施すことで、稼働を維持することは CCIE にもできるでしょう。しかし CCDE には、ソリューションが実際の機能・非機能的要件を満たし、初日から目的を果たすことを保証できる能力があります。また、もし要件に変更が生じたとしても、「予定外のメンテナンス」によってネットワーク全体を停止せずにソリューションを拡大または縮小するための方策はすでに CCDE の頭の中にあるはずです(おそらくは文書化もされているでしょう)。優れたアーキテクトであっても、CCDE ラボ試験に手を焼いている人を私は何人も知っています。サービス プロバイダーにおいて MPLS または BGP のキーパーソンを務めるエンジニアは、エンタープライズ EIGRP についても同様の能力を発揮できるでしょうか。ファブリックの隅々まで熟知している DC の達人であっても、WAN のスキルはそれほどではないかもしれません。CCDE を取得するための最善の方法はどのようなものでしょう。 CCIE の取得は役に立つでしょうか。もちろんです。妨げになることはないでしょうか。これも、もちろんです。CCIE の取得は必須ではありませんが、正直に言えば、CCDE の取得に役立つと思います。1 つか 2 つ(R & S と SP は最適な組み合わせです)持っていると、テクノロジーを理解し、シスコのエキスパート レベル試験の複雑性を理解できます。しかし、CCIE の取得が障害となってしまうケースも考えられます。たとえば、与えられた要件を満たすテクノロジーを選択してソリューションをどのように拡張させ、どのように効率的に管理するか、といった上位レベルの思考が必要な時に、下位レベルの細部にばかりとらわれてしまうと足を引っ張られる可能性があります。そこで、私自身の経験から得た知見と、スコア 60 点の壁をどのようにして越えてきたかをご紹介します。

     

    1 度目

     

    私は浮き浮きしていました。これから CCDE を取得してエリートの仲間に加わるのです。今から考えてみると、少し自信過剰気味でした。私は非常に興味深いプロジェクトに参加していたことがあります。また、複数の一流企業で働き、Cisco Press と協業するという特権的な立場にいたため、資格取得がそれほど困難だとは思っていませんでした。試験は朝 4 時半開始で、前の晩はよく眠れませんでした。私は CCIE として試験を受けました。試験後も CCIE のままで、CCDE になることはできませんでした。試験は信じられないほど難しく、あっという間に終わってしまいました。シナリオ全体の要件と電子メールの量に圧倒されました。一日中、質問をぼんやりと見つめ、試験で求められているのが単なるベスト プラクティスであるかのように回答しました。時間配分がまずく、顧客の本当の要求が何であったのかを突き止めることができませんでした。テスト センターを後にしたとき、質問を 1 つも思い出せませんでした。こんな状態は一度も経験したことがありません。自分の限界まで勉強してきたのに、完膚なきまで叩きのめされました。スコアは不合格者にのみ通知されます。もちろん、私もスコアをもらいました。およそ 60 % で、あともう少しというところでした。

     

    その夜は眠ることなくぐずぐず考え込んでいました。私はひどく落胆しました。試験の数日後、散髪に出かけました。スタイリストは、(私の髪が伸びていることに加えて)私の様子がいつもと違うことに気づきました。スタイリストが尋ねました。「何かあったの? ちょっと、ぼんやりしてるみたい」CCDE 試験がどれだけ複雑かを、CCDE と無縁な人にどう説明したらいいのでしょうか。しかも落ち込んでいるときに。

     

    「8 時間の試験を受けたんだ。ずっと勉強してきたのに不合格だったんで落ち込んでるんだ」

    「そうだったの。それはどんな試験? 合格に近かったの?」彼女は尋ねました。

    「IT の試験で、60 % くらいの出来。難しい試験だった」と答えました。

    「合格した人はいるの?」

    「いるけれど、これまでで多分 250 人くらいじゃないかな」と、2013 年の合格者がそのぐらいだったことを思い出しながら答えました。

    「それは、あなたが受けたときの合格者?」と彼女。

    「いや、試験が始まったときからの累計」と私。

     

    彼女は信じられないようでした。そして、世界中でたった 250 人しか合格していない試験なら、60 % しかできなかったからといってがっかりすることはない、と言ってくれました。私はとても嬉しくなりました。明らかに難しい試験だったにもかかわらず、合格に近い点を取れたのですから。「大事なことに気づかせてくれて、ありがとう」店を出るときにそう言って、いつもより多めにチップを渡しました。ヘアスタイルも気分もすっきりしました。このとき、次は必ず合格すると誓ったのです。

     

    2 度目

     

    私は次に実施される試験を受けようと思っていたのですが、その 1 ヵ月前に息子(Jake Duggan)を授かったため、参考書を仕舞い込み、子守唄をうたいながら眠れぬ夜を過ごすことになりました。小さな息子が歩いたりしゃべったりできるようになったとき、試験勉強に集中すべき時が来たと思いました。私は技術力には優れていましたが、時間管理と要求分析には少々問題があることに気づいていました。これが前回の敗因です。しかし、今回は何としても合格したいと考えました。そこで、試験直前まで徹底的に勉強しました。前の晩は眠れず、試験当日の朝 5 時のセントラル ロンドン行き列車の席を予約しました。テスト センターに着くまで仮眠するなどという考えは浮かびませんでした。列車内でも一睡もせずに勉強しました。ご想像のとおり、結果は壊滅的でした。試験に集中できず、ドキュメントと電子メールの集中砲火を浴び、どのシナリオでも時間が足りず、自分の顧客が誰で、各シナリオで何をすべきかもわからないという有様でした。20 分間の昼休みを取ったとき、もうどうやっても合格しないだろうと思い、いっそ家に帰って息子を抱きしめたいと思いました。一部の回答などは、クリックしたものの正しくないとわかっていました。目の前にあるはずの正解が見えていなかったのです。それでスコアはどうだったか。また 60 % でした。実のところこれにはびっくりしました。私は再度 CCIE として試験を受け、CCIE として会場を後にしたのです。

     

    3 度目の正直

     

    私は次の受験前にベルリンの CCDE Cisco Live Techtorial に出席し、Elain Lopes と Yuri Lukin との面会を取り付けました。チームの全員が親しみやすく、進んで手助けやアドバイスを授けてくれました。これは私にとって貴重な体験であり、ターニング ポイントとなりました。何かが明確でない場合は、早まって判断しないこと、目前の事実に基づいて回答するのではなく、ドキュメントを調べてから回答することを学びました。私は手がかりを見逃していました。何が本当に重要なのかを手際よく見極める必要がありました。それでも、私の技術的な能力は適正なレベルでした。質問に埋め込まれた正解を導くためのヒントは考え抜かれていて、提示されたシナリオと要件を完全に理解しないと合格はおぼつきません。私は Jeremy Filliben のラボをもう一度訪れ、確信が持てない回答について相談しました。これはとても楽しい機会でした。毎回新しい知識を吸収できるし、彼は非常に親しみやすく、いつもサポートしてくれます。Orhan Ergun のブートキャンプに申し込みましたが、これも非常に有用で、理論や設計上の問題をおさらいし、一部のシナリオを試験直前にもう一度検討することができました。このトレーニングの中でも、比較図は役に立つ要素だと思います。最も役に立ったのは、おそらく、友人の Daniel Dib(シニア ネットワーク アーキテクト)と Kim Pedersen が立ち上げたスタディ グループに加わったことです。スタディ グループにはドリーム チームとも言うべき人材が名を連ねています。ありがたいことに、CCDE 試験の父とも呼ぶべき Russ White が所属しており、彼の著書の中から、頭を悩ませていた OSPF ABR の配置の論理や LSA フィルタリングについて質問することができました。彼はまた、直前にすばらしいアドバイスをしてくれました。「質問を読め」です。その場では笑ったものの、実際にはシンプルで手堅いアドバイスであることがわかりました。私は少なくとも 2 回、各質問を読むようにしました。表に複数の回答を書き込んでしまったとき、アドバイスを思い出してもう一度質問を読んでみると、本当は 1 つの列で 1 つのボックスを選択すればよいところを 2 つ選択していたのに気が付きました。ありがとう、Russ! 前日の夜にホテルにチェックインし、何とか眠ろうとしました。最高とは言えませんが、これまでよりも十分快適に過ごせました。このときは、すでに CCDE を取得済みだという気分で試験に臨みました。何が求められているのか、以前よりもはっきり理解していて、これまでの結果から判明した苦手な分野を補強し、技術的にも準備を整えていました。私がすべきことは、自分のテスト エンジンを信じることだけです。最初のシナリオは瞬く間に終わりました。とてもうまくできたと感じ、予定より 30 分も前に完了しました。水を飲みに部屋を出て 2 分間の休憩を取る余裕がありました。2 番目のシナリオはもっと複雑で、前のシナリオで確保した時間の余裕をすべて使い果たしてしまい、昼食の時間になりました。昼食に出かけるとき、やはり試験を受けにきていた勉強仲間とサンドイッチで簡単に済ませようかと思いましたが、彼はもう昼食から戻ってきたところでした。すれ違いざまに私たちはお互いに顔を見合わせて、この 2 つのシナリオがどれだけ大変だったかを目配せで伝え合いました。私は昼食をたっぷり取り、散歩をし、コーヒーを飲みました。まるで一日中マラソンしているようなものなので、しっかり休憩する必要があったのです。3 番目のシナリオでは、丁度 2 時間かかりました。前回の試験では時間が足りなくなったことから時間配分が気にかかり、最後のシナリオには少なくとも 2 時間残しておきたいと思いました。4 番目は特に複雑で降参したくなりましたが、最後の質問には 6 分を確保できました。これは本当に貴重な時間で、ぎりぎりまで活用しました。実のところ、私は回答を変えようとしていたのですが、直感に従って、残り 30 秒のところで [次へ(Next)] をクリックしました。少しの間がありました。画面に「合格」の文字を見たときは驚き、ただ座って信じられない思いでそれを見つめました。これはバグに違いないと思いましたが(失礼)、どうやら正しいようです。私がガッツポーズするのを見て試験官が笑い出しました。「私は合格したんですよね?」試験官は「そうですよ」と答えました。私は、「システムがクラッシュする前に印刷してもいいですか?」とジョークを返しました。

     

    学んだ教訓

     

    実技試験は非常に難しいのですが、公平で実用的です。それゆえ、非常に価値があるとされています。CCDE 認定の取得が目標や夢であるならば、おそらく合格できるでしょう。しかしもし、「10 年も業務経験があるし、毎日設計の仕事をしているから、試しに受けてみよう」と考えているようなら、すぐに合格できなくても狼狽えないでください。1 回目、2 回目、さらには 3 回目の受験で合格しなかったからといって、失敗したわけではないことを覚えておいてください。失敗するのは、試験をあきらめたときです。試験は常に受験者にとって試練ですが、認定されるには、たったの 1 回だけ合格すればよいのです。また、今回の経験を通してもう 1 つわかったことは、テクノロジーや、ソリューションの機能や拡張性を、技術に明るくない友人に説明できないのなら、テクノロジーを本当に理解しているとは言えないということです。CCDE の受験は、自分の弱みを強みへ変えるチャンスです。たとえば、IS-IS を熟知していても、特定のトポロジで EIGRP のパフォーマンスを改善させる実務経験がないのなら、参考書に頼らず、スタディ グループに相談してみましょう。グループとはギブ アンド テイクの精神でつき合いましょう。自分の専門分野では、できるだけ意地悪な気持ちでシナリオを作り、グループのために学習セッションを主催します。グループの専門知識の積み重ねは、認定を獲得するための貴重な資源となります。合格できなくても、経験から学ぶことはできます。

     

    試験自体は、簡単に言えば作成者にとっての栄誉です。ほとんどの人は、現実的で新鮮味のあるシナリオを作成し、保護するためにどれだけの労力が払われているか、認識していません。こうした取り組みを裏で行っているチームはすばらしいの一語に尽きます。正解に導くためのヒントは、よく練られています。時には 5 つの正解が提示されますが、顧客とシナリオに適切な回答は 1 つだけです。そこで全体像を把握して重要な要件を見つけ出しさえすれば、知識と経験を活用することで正しい回答を導き出すことができます。Elaine はシナリオに入り込むことが重要だと説いています。そして私は今回それに成功しました。私はやっと、60 % の壁を乗り越えることができました。

     

    試験前の数日間は、本を見るのを止めましょう。家族と時間を過ごし、試験に向けて気力を蓄えましょう。試験当日はしっかり休憩を取り、自分のペースで時間を使いましょう。試験のステータス バーは味方です。敵ではありません。

     

    1 日で 4 つのシナリオをやり遂げるには、ある程度の持久力が必要になります。CCIE ラボを受けるのと同じように、できるだけ多くのラボで演習してください。私はサイクリングが好きで、自転車に乗った後は頭がすっきりし、長時間の学習セッションに耐えられる気力が回復するのがわかりました。8 時間の学習セッションを続けることはとてもできませんが、2 時間のセッションを 4 つなら容易に対処できます。

     

    新しい友人(スタディ グループの Nick Russo)は、私が合格した後、次のように語りました。「CCDE に合格するまで 3 回かかった人のことを何て呼ぶか、知っているかい?」何ということでしょう。1 回で合格できなかったら、どのように呼ばれてしまうのでしょう。「CCDE だよ」と Nick は言いました。「君は合格したんだ。何回受験したかは関係ない。おめでとう!」ありがとう、Nick、本当に感謝しています。

     

    もしあなたが最初の挑戦に失敗していて、散髪しながら元気が出る言葉をかけて欲しければ、私に任せてください。喜んで力になります。合格に向けてがんばってください。健闘を祈ります。

     

    著者について

    pic Martin Duggan.jpg

     

     

    Martin J Duggan(CCDE 2016::6 および CCIE #7942)は、AT&T のシニア ネットワーク アーキテクトで、Cisco Press の執筆者でもあります。Martin は CCIE を 2001 年に取得し、以来、シスコの認定と指導に熱意を持って取り組んでいます。

     

     

     

    次の方法で、このテーマについてさらに学んだり情報を交換したりすることができます。

    CLNBanner