デザインの課題 – パート 2 (Virgilio Spaziani)

    本ページは英語ドキュメントを翻訳したものです。

     


     

    課題の解決 – パート 2(Virgilio Spaziani 担当)
    実用ネットワーク設計手法:課題の解決

    このシリーズの最初のブログ「A Design Challenge」において、私はあるネットワーク設計の課題を取り上げました。その最終的な目標は、「Now What? [英語]」という別のブログで述べたソリューション手法をこの課題に適用することです。その手法に従って問題を分析し、最適なソリューションを見つけてみましょう。

     

     

     

     

    明示/非明示を問わず この課題に含まれるビジネス要件をすべてリストする

    この課題を解決するためのビジネス要件は以下のとおりです。 どのような場合でも、ビジネス要件を把握しておくことは非常に重要です。それによって、より多くの正しい選択肢を見つけることができ、正しい方向に進むことができるからです。

    1. Route First Service Provider は業界でのリーダーを目指している。

    2. 同社は、ビデオ、音声、クラウド コンピューティング、コラボレーション、および従来のデータ サービスに関心がある。

    3. 同社は、ネットワーク リソースを効率的に使用し、コスト削減に積極的に取り組む必要がある。

    4. 異なるプロファイルを使用して、顧客を少なくとも、ブロンズとゴールドの 2 つに分類したいと考えている。

     

    明示/非明示を問わずこの課題の技術要件をすべてリストする

    1. L2 オーバーレイ VPN(ATM、フレーム リレーなど)から MPLS L3/L2 VPN に移行する。

    2. ソリューションの拡張性:アグリゲーション リングとアグリゲーション ルータの数を 2 倍にする。

    3. ネットワーク トポロジ:ルータとトポロジの数について、明確な考えを持つ。

    コア ゾーン:ルータ 10 台(コア ルータを拡張する要件はない)。

    アグリゲーション ゾーン:拡張性の要件により、アグリゲーション リングの数と、リングあたりのアグリゲーション ルータの数が 2 倍になります。 現在 5 つのアグリゲーション ゾーンが存在し、それぞれに 10 台のルータがあるため、ルータの数は合計で 50 台になります。 それぞれ 20 台のルータを備えた 10 のアグリゲーション ゾーンに拡張すると、アグリゲーション ルータの数は合計で 200 台になります。 この場合、リングの規模が巨大になります(22 ルータ リング)。このようなソリューションは通常、選択しないかもしれませんが、ここでは、自分たちがどう思うかは関係ありません。 提示された選択肢の中から要件を理解し、ソリューションを適用する必要があります。 つまり、10 のアグリゲーション リングに拡張すると、2 つのリングを同じコア ルータのペアに接続させることになると想定できます。

    ペリフェラル ゾーン:現在、30 のペリフェラル ゾーンがあり(ペリフェラル ゾーンもコア ルータのペア上に構築されます)、それぞれに 3 台のルータがあるため、ルータは合計で 90 台になります。 それぞれ 3 台のルータを備えた 55 のペリフェラル ゾーンに拡張すると(補足:コア ルータは 2 倍にはなりません)、ペリフェラル ルータは合計で 165 台になります。 現在の設計は、10 台のコア ルータ + 50 台のアグリゲーション ルータ + 90 台のペリフェラル ルータ = 150 台のルータで構成されています。これを 10 台のコア ルータ + 200 台のアグリゲーション ルータ + 165 台のペリフェラル ルータ = 375 台のルータに拡張します。 そのため、2.5 倍に拡張できる選択肢を選ばなければなりません。

    4. 潜在的な要件:この課題では、MPLS へ移行し、帯域幅を効率的に使用することが求められています。ここから、MPLS TE をサポートする、という要件が導き出されます。

     

    明示/非明示を問わずこの課題の制約事項をすべてリストする

    1. Route First は、可能であれば OSPF を他のルーティング プロトコルに変更することは避けたいと考えています。

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    図 1:現在のトポロジ

    Blog06-Figure2.png

    図 2:提示されたトポロジ

     

    すべての選択肢を並べ、要件と制約事項に照らし合わせて比較、対照する

    課題を解決するために、すべての要件とすべてのソリューションを次のような表にまとめます。

    L2 IS-ISL1/L2 IS-ISシングル エリア OSPFマルチ エリア OSPFマルチ エリア、マルチ プロセス OSPF仮想リンク接続 OSPFEIGRP
    1. SP 業界のリーダー完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす
    2. 音声、ビデオ、クラウド、コラボレーション、データ サポート完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす
    3. ネットワーク リソースの効率利用 ==> MPLS TE サポート完全に要件を満たす一部の要件を満たす完全に要件を満たす一部の要件を満たす一部の要件を満たす一部の要件を満たす要件を満たさない
    4. 顧客プロファイル対応完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす
    5. MPLS L3/L2 VPN への移行完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす
    6. 2.5 倍の拡張完全に要件を満たす完全に要件を満たす要件を満たさない要件を満たさない完全に要件を満たす一部の要件を満たす要件を満たさない
    7. OSPF の継続要件を満たさない要件を満たさない完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす完全に要件を満たす要件を満たさない

     

    選択する理由(適切である理由)と選択しない理由(不適切である理由)を説明する

    (1)SP 業界のリーダー、(2)ビデオ、音声、クラウド、コラボレーション、データ サポート、(4)顧客プロファイル対応、(5)MPLS L3/L2 VPN への移行に関する要件は、IGP の影響を受けないため、すべての欄に「完全に要件を満たす」と記載されています。 では、すべての選択肢を分析していきましょう。

     

    L2 IS-IS

    3. MPLS TE サポート:IS-IS と OSPF のいずれにも CSPF の拡張が必要です。

    6. 2.5 倍の拡張性:IS-IS は、LSP パケットを効率的に使用するため、1 つのシングル エリアで 1,000 台を超えるルータまで拡張できます。

    7. OSPF の継続:Route First は、可能であれば OSPF を継続したいと考えています。

     

    L1/L2 IS-IS

    3. MPLS TE サポート:IS-IS と OSPF のいずれにも CSPF の拡張が必要です。 マルチレベル環境での MPLS TE の使用は複雑になる可能性がありますが、エリア間トンネルを使用すれば可能です。

    6. 2.5 倍の拡張性:IS-IS は、LSP パケットを効率的に使用するため、1 つのシングル エリアで 1,000 台を超えるルータまで拡張できます。

    7. OSPF の継続:Route First は、可能であれば OSPF を継続したいと考えています。

     

    シングル エリア OSPF

    3. MPLS TE サポート:IS-IS と OSPF のいずれにも CSPF の拡張が必要です。

    6. 2.5 倍の拡張性:165 台のペリフェラル ルータがローエンドであることを考慮すると、ベスト プラクティスでは 1 つのシングル エリアのルータは最大約 50 台です。もちろん正確な数は、ルータ自体の数より、トポロジや隣接するエリアの数に依存します。 いずれにせよこの場合は、1 つのシングル エリアのルータは 375 台となり、50 台を大きく上回ります。

    7. OSPF の継続:Route First は、OSPF を継続したいと考えています。

     

    マルチ エリア OSPF

    3. MPLS TE サポート:IS-IS と OSPF のいずれにも CSPF の拡張が必要です。 マルチレベル環境での MPLS TE の使用は複雑になる可能性がありますが、エリア間トンネルを使用すれば可能です。

    6. 2.5 倍の拡張性:165 台のペリフェラル ルータがローエンドであることを考慮すると、ベスト プラクティスでは 1 つのシングル エリアのルータは最大約 50 台です。もちろん正確な数は、ルータ自体の数より、トポロジや隣接するエリアの数に依存します。 いずれにせよこの場合は 1 つのシングルエリアで 55 台のルータになる可能性があります(2 台のコア ルータ + 20 台のアグリゲーション ルータ +(11 X 3)33 台のペリフェラル ルータ)。通常は、最大 50 ルータという制限にあまり近づけないようにします。

    7. OSPF の継続:Route First は、OSPF を継続したいと考えています。

     

    マルチ エリア、マルチ プロセス OSPF

    3. MPLS TE サポート:IS-IS と OSPF のいずれにも CSPF の拡張が必要です。 マルチプロセス環境での MPLS TE の使用は複雑になる可能性がありますが、トンネル スイッチ ソリューションを使用すれば可能です。

    6. 2.5 倍の拡張性:このソリューションでは、1 つのエリアのルータの最大数は、アグリゲーション ゾーン ルータの場合 22 台になります。

    7. OSPF の継続:Route First は、OSPF を継続したいと考えています。

     

    仮想リンク接続のマルチ エリア OSPF

    3. MPLS TE サポート:IS-IS と OSPF のいずれにも CSPF の拡張が必要です。 マルチレベル環境での MPLS TE の使用は複雑になる可能性がありますが、エリア間トンネルを使用すれば可能です。

    6. 2.5 倍の拡張性:このソリューションでは、1 つのエリアのルータの最大数は、アグリゲーション ゾーンの場合 22 台になります。 しかし、これでは 100 の仮想リンクによる迷路のような構成となってしまい、ネットワークが不安定になり、拡張性も制限される可能性があります。

    7. OSPF の継続:Route First は、OSPF を継続したいと考えています。

     

    EIGRP

    3. MPLS TE サポート:EIGRP は MPLS TE をサポートしていません。

    6. 2.5 倍の拡張性:EIGRP ネットワークでは最大ルータ数が明確に決まっているわけではありませんが、クエリ プロセスのネットワーク直径は、32 のループバック PE アドレスに対して 20 ルータを超え、Stuck In Active(SIA)状態が発生する可能性があります。

    7. OSPF の継続:Route First は、可能であれば OSPF を継続したいと考えています。

     

    最終的に残った選択肢は、マルチ エリア、マルチ プロセス OSPF と仮想リンク接続 OSPF の 2 つです。 この 2 つの選択肢の内、最も要件を満たしているのは、マルチ エリア、マルチ プロセス OSPF です。 これは、CCDE 実技試験への取り組み方の例です。 この場合は「一般的ではない」と思われるソリューションが、顧客の要件を最も満たしていました。 つまり結論としては、絶対に正しいという設計は存在せず、あるのは、要件を満たす設計と満たさない設計だということです。したがって、要件を深く理解することが適切な選択肢を選ぶ上での鍵となります。

     

    Virgilio Spaziani は CCDE 認定(#20140003)および、3 つの CCIE 認定(R&S、SP、セキュリティ)の保有者(#35471)です。 スイスでシスコの公式インストラクタも務めるネットワーク設計者です。 簡単なネットワーク設計で複雑なネットワーク要件を解決し、簡単な例を用いて複雑なテクノロジーを教えることを得意としています。

     

    著者について

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    Virgilio Spaziani は CCDE 認定(#20140003)および、3 つの CCIE 認定(R&S、SP、セキュリティ)の保有者(#35471)です。 スイスでシスコの公式インストラクタも務めるネットワーク設計者です。 簡単なネットワーク設計で複雑なネットワーク要件を解決し、簡単な例を用いて複雑なテクノロジーを教えることを得意としています。

     

     

     

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